花火横丁花火観覧回想記
− 観覧探求編 −

第一回 下田黒船祭り・花火大会より「海上スタ−マイン」

T・プロロ−グ「海上スタ−マインに敬意を表し」
漆黒の海上に突然現れる炎、うっすらと海上を照らし、静かに揺らめく。
そして、激しい閃光と衝撃波を放ち、水上から一気に吹き上げる炎の花。
考える隙を与えない、海面付近での一斉開花。残響と脳裏への残像を
残し、一瞬の宴は幕を閉じ、下田の海は静かな夜へもどるのであった


U・海上スタ−マインを考える
ドラム缶の上に発煙筒、木で筏を組み沈まぬ様になっている。数本のドラム缶の間は、電気コ−ドのよう
なもので繋がれ、目印の旗と電球が付けられ、沖合いに係留される。外観から分かるのはこれだけだ。
さて、現在見えているポイントから、持てる知識を絞って考えてみる事としよう。
     
判明ポイント 考察結果
@放出される花火玉の中に「八重芯」が入っている ♪これは、最低五寸玉以上の玉が混ざっている
A八重芯を五寸としたら、それより小花もある ♪2.5寸〜数種類の大きさが込められている
B吹き上げ時は、スタ−マインのように華やか ♪ザラ星が多数入っている
C電気コ−ドを使用 ♪電気点火している
D発炎終了後の点火が同時ではない ♪本体点火には、延時が使われている(かも)
E海中のドラム缶から、上(空)に発射される ♪発射薬が装填されている
以上の事から推測すると・・・・・
ドラム缶を筒と見立てて、底部に「発薬」、その上に大小の花火玉が装填され、ザラ星や雷なども収め
られる。ドラム缶上部の発炎筒は、電気コ−ドで繋がれ、外部より点火される、発炎筒と同時に延時線
にも点火され、延時線により下部の発薬に着火、ドラム缶より発射されると考えられる。

V・花火作家に聞いてみよう
以上の考察を元に、ご迷惑を承知の上、製造元の「ホソヤエンタ−プラズ」さんに、直接
「海上スタ−マイン」について、質問してみる事とした。日常業務でご多忙の中、趣味の人
からの唐突な質問にも関わらず、ご回答をいただきました。
以下要約して記載します
ドラム缶の内径は、打揚筒で例えると約2尺玉と同じです。従って、揚薬量は2尺と同じ
量を使用しています。中身はザラ星・雷粒・2号〜最大7号玉まで入れています。
保安距離は2尺玉と同じ距離で、ドラム缶はアンカーで固定しています。使用している
ドラム缶は再溶接・補強等をして、必ず回収出来るよう設計してあります。
*ホソヤさんでは、海上スタ−マインの技術について
「特許」を、取得しているそうです。そのような環境下、
またご多忙の中でのご協力に感謝します。


W・もうちょっと考えてみる
標準品のドラム缶は内径567mm、二尺玉の実測値が585mm
程度というから、ほぼ二尺玉の実測値のサイズ。
ドラム缶を知ろう
使われているドラム缶は、標準的な200Lのサイズ、材質は鉄製だろうか。
さらに調べると、上蓋が外れそなので、オ−プンタイプというらしい。
大きさ(内寸)は、内径567mm、内高890mm。

さてドラム缶一本あたりに、何発玉が入るのか?計算してみたいところ
であるが、ここは物量作戦で確認してみることとした。内径600mmとして、3寸玉(直径約90mm)で何発入るのか?1/10に縮小し絵を書いてみる。60mmの円の中に9mmの円を書いていく。PC上なのでアバウトであるが、
27個入る事が分かった。7寸(210mm)〜入るとすれば、底面で15玉以下
の装填であろうか。隙間や、重ね玉もあるとすれば・・・
分からないけど一缶に、50発くらい装填されているのか?

番外編・写真に残すという事。
掃射時間にしておよそ10秒。掃射口となるドラム缶付近は、相当な明るさである。
さらに、「雷」「ザラ星」も明るいので、作品下部から中間部までは、かなりハイキ−
となる。中間部から上部も、花火の重なりが多く、ここも明るい状態である。対して
周辺部(全体の輪郭線)となれば単発となり、色の状態によっては暗めである。
要するに、ラチチュ−ドが広く、時間も短いので「難敵である」。
失敗の事績について・・(CANON・PS/G2 ISO50相当)
@F=1:8+ND4(F16相当)では、爆心、ザラ星、その周囲の露出がアウト。
AF=1:8+ND8(F22相当)では、花火玉全体にアンダ−ぎみ。特に赤や青。
注意1:ただし、Aはレンズ結露という決定的なトラブル下の話し)
注意2:供に露出時間は8秒程度。
その道の師匠からのアドバイス
明るい星を下層部に使っていることが多く、開口部から下層。中層に至るまでが
極めて明るく、更に最初に出た瞬間が更に明るく相当難しい。更に爆圧による
空気の振動や、海中から足下まで達する振動で、三脚(カメラ)がびびる事もある。

X・あとがき「体で感じ思って欲しい」
特殊花火とも言える「海上スタ-マイン」。全盛期は2日で3セット(15本)という時期
もあったそうです。昭和53年頃の誕生で、下田以外での披露も、あったようです。
現在は、下田黒船祭りの花火大会にて、1セット(4本)のみとなっています。
ここでしか見られない花火、年1回の為の技術・・・。ぜひ下田に来て、見て欲しい。
そして、間近で観覧して、感じて欲しい作品だと思う。圧倒的な閃光、目前に広が
る花火、何よりその破壊的な威力で発生する、音圧と波動を味わうには、「LIVE」
しかないのだから・・・。

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